「BIM設計実務研修会」の開催結果について
2024.2.82/5(月)10時から郡山市の「ビッグパレットふくしま」中会議室で当組合DX委員会主催の「BIM設計実務研修会」を開催し、組合員32社69名と福島県技術職員の方々が5名オブザーバーとして参加しました。
当日は、DX委員会の辺見委員の司会の下で、研修に先立ち鈴木理事長の挨拶と滑田委員長からの事業説明がありました。組合事業として組合員である設計事務所のDX化に取り組んでいること、その一環としてBIM研修を行っていること、昨年5月の総会時のBIM研修会は主に経営者向けに広く浅くBIMを理解していただくために開催したものであり、今回の研修会は座学による実務者向けの機器操作研修であること、R6年度は実際に機器を使用しての操作研修(オンライン)を複数回予定していることなどが報告されました。
なお、今回は昨年のアンケート調査で組合員のBIMソフト導入率の高かったArchicadとRevitについてそれぞれ専門講師を迎えBIM導入・活用について説明を受けました。
午前中は「講義1」と題してRevit講習を行いました。岩手県盛岡市で総合建設業を営む(株)タカヤ建築事業部建築設計グループの伊藤慎吾地氏と安東由史江氏の両氏による自社の取組み状況等と事前準備した質問事項に対する回答を交え報告いただきました。
現在のBIM対応人員は5名(意匠、構造、インテリアコーディネーター)でRevit導入はAutoCADからの自然の流れで導入したこと、取組み始めて5年が経過したが2017年からのBIM活用企業訪問に始まり、2019年のコンサルとの共同研修を経て、2020年に概算テンプレート作成、2022年から設計・営業部門で施主等へのプレゼンテーション用に導入するなど業務効率が上がってきたこと、二次元図面を描くのではなく部材を貼付け三次元に立体図を完成させるイメージで効率アップにはテンプレート(部材モデル)の作成が必要となること、実務では意匠・構造は概算費用の算出から、電気・機械は実施設計から活用しているが活用頻度はプレゼンテーション利用が一番であること、そのためには効率化を目的にBIMでやること、やらないこと(用途、規模、構造等の限定)を決め使用部材を限定すること、スタート時にロードマップを作成し目標を決めることで段階的、継続的習得が可能となること、基本はBIMを使ってCADと同じ図面を作ろうとしないことなど、施設設計モデルを使いながら報告いただきました。
午後は「講義2」と題してArchicad講習を行いました。講師は熊本県熊本市でグラフィソフト(Archicadソフト会社)認定コンサルタントとして活動している(株)KOVALENS代表の道脇 力氏です。道脇氏は設計事務所、ゼネコン設計部勤務を経て、道脇設計室を開設、2010年にBIMに触れ操作技術を習得後、現在の会社を創設しBIMによる設計協力、BIM導入・運用サポート、トレーニング講師等を行っている方です。
冒頭、BIMについての説明がありました。BIMは「Building Information Modeling」の略称で建築情報を持ったモデルを構築するシステムで複数の図面で行っていたことを、初めからすべて3Dで作成し、そこから2Dの平面図や立面図を取出すことが可能なソフトで、形・材料・材質・強度・コストなどのデータを重ね合わせることも出来るなど、チームで取組む建築の合意形成に欠かせないコミュニケーションツールであると感じていること、初期の段階から通風や照度、日射量の変化を含む様々なシミュレーションを行い、設計業務のピークを前倒しすることで後半の手戻り作業を減少させるなどコストや工期短縮に貢献しているツールであることなどを話されました。
機器操作については、設計モデル例を基に間仕切り壁や仕上げ材の貼付け方や貼り付けるテンプレートの作成手法等について解説いただきました。その際は、組織全体で取り組むこと、BIMマニュアルを整備し目的・目標を明確にすること、統括するマネージャーを選任し一人任せにしないこと、テンプレートマニュアルを整備し工種を区分すること、テンプレートは柱・壁(RC,S,W等)で分類するのではなく、共通仕様書の工事区分(仮設、土、コンクリート、金属等)とすることで検索が容易になり工種ごとの数量等も拾いやすくなるとのことでした。
両講師には、質疑応答を含め丁寧に対応いただきました。なお、当日は参加者へのアンケート調査も行いBIM使用ソフトや次年度の研修メニューに関する意見・要望等をいただきました。参考とさせていいただきます。