組合たより「第39回福島県建築文化賞表彰式」で 組合3作品が正賞、特別部門賞、復興賞を受賞
2024.1.24 1/22(月)11時から福島市の杉妻会館で第39回福島県建築文化賞表彰式が行われました。福島県及び福島民報社、福島県建設業協会、福島県建築士会が主催する本賞は、単なる建築賞とは一線を画し、建築文化賞として建築の意匠や機能性は基より地域の周辺環境に調和し、景観上優れている建築物などを表彰するものとして昭和57年に創設され本年で39回目を迎える由緒ある賞ですが、特に、東日本大震災後は建築の動機や目的、震災復興への貢献度など多面的な評価基準に照らし選定されています。なお、表彰対象者は建築主、設計者、施工者の3者です。
今回の応募作品総数36点の内、福島県建築設計協同組合は4作品を応募し、全ての作品が現地審査対象施設(14作品)に選定されました。審査委員(7名)による現地審査の結果、以下3作品が「正賞」、「特別部門賞」、「復興賞」を受賞しました。
「正賞」を受賞した「みなみあいづ森と木の情報・活動ステーション:きとね」は南会津町からの受託業務で、林業拠点機能と併せて森林や木材に関する情報発信、木育や研修、木製品の展示・販売機能を持つ施設として、林業・木材産業の活性化及び情報発信等を目的に整備した交流施設であり、南会津町を拠点とする組合員の(株)はりゅうウッドスタジオが関係者調整を含め企画段階から設計・工事監理に至る一連の業務を担当した施設です。
「特別部門賞」を受賞した「歴史観光施設「にほんまつ城報道館」は二本松市から受託し主催した設計者選定(プロポーザル方式)で選ばれた(株)青島裕之設計室が担当した施設です。
「復興賞」を受賞した「福島県浪江ひまわり荘」は西郷村を拠点とする福島県社会福祉事業団から受託した福祉施設を設計者選定(プロポーザル方式)で選ばれた組合員のAUM(株)が担当した施設です。
また、同日同会場で13時から福島県建築文化賞の受賞記念講演会が開かれ、正賞を受賞した「みなみあいづ森と木の情報・活動ステーション:きとね」の設計担当である(株)はりゅうウッドスタジオの滑田・斎藤両氏が「標高700mの態度価値」と題して講演しました。
タイトルの背景であるが、県外出身者である両氏が同事務所設立者の故芳賀沼整氏に誘われ山間部の南会津町に事務所を構えたこと、事務所が林業で栄える南会津町の標高700mの位置にあること、どんな困難な状況や環境にあっても「態度価値」を実現することで人生を意味豊かなものにできること、その「態度価値」とは学生時代に読んだ心理学者フランクルの「夜と霧」に記された「創造価値」、「体験価値」に続く価値観で、現実に対する自身の「とる態度」によって実現される価値のことであること。その上で設計に際しては、建築主、設計者、施工者の3者が個人の欲求を超えて社会につながる目的を持った施設づくり目指す関係性を構築したいと考えていること、また、CO2削減等の環境に配慮した木造建築物に地場産流通木材を生かす構法として県内での加工組立が可能な縦ログ構法等を採用することで地域循環型のサプライチェーンの構築を目指していること、そして、その1つの事例として取り組んだのが「みなみあいづ森と木の情報・活動ステーション:きとね」であったことを作品の設計過程等を通して講演した。
(株)はりゅうウッドスタジオ 滑田氏
文化賞受賞作品一覧[PDF形式](133KB)
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